今年のゴールデンウィーク(GW)は、天皇陛下の退位と即位が行われることにより、4月27日~5月6日までとなります。
4月末から5月上旬までがお休みとなるわけですが、それに伴う会計上と税務上の影響について考察してみました。
1.売上高について
4月の業務が下旬で終了することとなるため、4月の営業日数が減少します。同様に、5月の業務については、上旬はほとんど行えない状態が、これまでよりも続くと思われます。
従来は、休日となるゴールデンウィーク前の4月中に業績を上げておく傾向がありました。そして、5月は上旬の休みが多いことから、それほど業績が上がらない傾向にありました。結果として、5月の売上高は従来から低くなる傾向にありましたが、今年は4月の売上高についても、これまでより低くなることが予想されます。なぜならば、今年は、そもそも4月末が休日となり、業務が行えないこととなるため、業績を挙げるための業務については、従来よりも前倒しして行わなければならないためです。
そのため、4月の業績である売上高は従来よりも低下するのではないかと予想されます。
2.経費について
4月に支払うこととなっている費用について、月次払いの経費であれば、会計上、未払金として処理するとともに、法人税法上もこれを損金として処理することが可能です。しかし、年払いの経費については、影響が発生することとなります。
つまり、従来4月末に年払いで支払っていた経費については、2019年の支払いが5月7日以降になってしまいます。未払金には法人税法上の短期前払費用の適用ができないことから、4月30日決算法人が、従来4月末に支払っていた年払いの経費については、今年は経費計上できないこととなるのです。
こうした法人については、本年は3月末に支払時期を変更する等の方法により、決算期末までに支払いを行う必要があります。
3.中小企業における貸倒引当金の設定について
4月末の売掛金が増加することが予想されることから、4月30日決算法人については、従来と比較して、より多額の貸倒引当金を設定することが可能となることが予想されます。
4.経営分析指標について
2019年においては4月下旬から休日に入るため、従来4月下旬から月末までの間に入金されていた取引や支払われていた取引が、すべて5月7日に決済されることとなります。
そのため、売掛金や未収金、買掛金や未払金といった債権・債務に係る勘定残高が増加することとなります。貸借対照表上、債権・債務に係る勘定科目残高が増加することにより、各種の経営分析指標が悪化することが予想されます。具体的に影響が出る分析指標として、売上債権回収率、各種の回転率、流動比率、当座比率等の分析指標が挙げられます。